機械工具の業界団体や商社、メーカーが子供に工具の使い方を教える「教室」を開いている。使う楽しさを体感し、ものづくりや工具販売に興味を持って貰うのが目的。工具に馴染みがなくても楽しめるゲームや模型工作を企画し、工具の魅力を発信している。

ゲームや模型組立て使う楽しさ体感

西機工会青年部の子供工具教室

西機工会青年部の子供工具教室

 3月28日、大阪市西区のJoyful喜一ホールディングス本社会議室。子供たちがドライバーやスパナを手にゲームに挑む。ネジやボルトが締まると「やった!締まった」と歓声があがった。

 西区の商社や販売店でつくる大阪西機工会青年部(田中健一部長・Joyful喜一ホールディングス社長)が企画した「子供工具教室」だ。

 ゲームはドライバーやスパナで様々なネジやボルト30種類を金属の板に決められた配置に締める早さを競う。小学生9人が5チームに分かれてチャレンジ。優勝チームには工具セットが贈られた。

 小学4年の女の子は「学校で配られていたチラシで知り、面白そうだから応募した。ネジを締めるのが難しかったけど楽しかった。またやってみたい」と笑顔で答えた。

 工具教室は6年前、同区の明治小学校で初めて開いた。発案者で当時部長の金谷寛一氏(大阪不二越製品販売社長)は「立売堀(西区)は工具の街。けれど使ったことのない子どもが沢山いる。使う楽しさを体験できる場をつくりたかった」。

コノエのストラップ

コノエのストラップ

 当時同校の子供会会長だったこともあり、学校に工具教室の企画を提案。過去に例が無かったが、熱心な働き掛けで土曜の課外イベントとして開催が決まった。当日は約30人の子どもが集まった。

 2年後に再び同校でノギスの体験教室、その後は区内の盆踊りや西区民まつり、九条南小学校(西区)にも活動を広げた。田中部長は「工具商の街ということを多くの子供に知って貰いたい。一人でも多くの子供に工具商の仕事に興味を持って貰えたら」と思いを馳せる。

 昨年からは西区が春・夏休みに主催する児童対象の「企業見学・体験会」の一コマでも開催する。九条南小で見学し魅力を感じた区の大西健氏(まち魅力創造課長代理・当時)から参加の依頼を受けたのがきっかけだ。

 この日の工具教室もその一つで、高野賢区長(当時)も駆けつけ「子供の可能性を広げるために、こうしたキャリア教育はとても大切」と話した。

 ネジ商社のコノエ(大阪府東大阪市)や作業工具メーカーのロブテックス(同市)は、工作体験のワークショップや教室を開いている。

ロブテックスのロボットキーホルダー

マサノヴァアートのロボット作製
(ロブテックス)

 コノエは、商工会議所や企画会社が主催する体験イベントで、工具でネジや木材を組み立ててストラップやピンボールゲームを作るワークショップを開催している。

 ワークショップは企画会社などと立ち上げた「虹色のネジ」というプロジェクトの一つで、河野裕社長は「ものづくりや社会を支えるネジの大切さを子供に伝えたい」と語る。

 ロブテックスは地元のNPO法人・東大阪地域活性化支援機構が市の52の小学校を対象に開く「モノづくり体験教室」で、工具を使いネジやナットでマサノヴァアートのロボットのキーホルダーを作る体験授業を行っている。

 7、8年ほど前、社員の子供にものづくりの楽しさを伝えるために始めたが、地引俊爲社長の「より多くの人に伝えたい」という思いから参加。ここ数年は年に5~6回授業を受け持つ。

 東大阪地域活性化支援機構の横田久美子氏は「体験教室は子供がものづくりの魅力を知るだけでなく、地元の企業や産業への理解を深めるきっかけともなる。未来の東大阪市を担う人づくりにも役立っている。そして家族にも理解が広がり社会的認知度向上にもつながっている」と話した。

日本産機新聞 平成29年(2017年)4月5日号