取引環境の改善に向けた動きが本格化している。昨年末、中小企業庁と公正取引委員会が取引の現金化を促すなど下請法の運用の強化を通達。これに応じる形で、日本自動車工業会(自工会)は金型管理や代金支払法の適正化などを重点的に進める自主行動計画を策定した。すでに自動車関連の金型メーカーでは来春に向けた現金化も通達するなど効果が出始めている。今後は自動車メーカーだけでなく、部品や金型業界での浸透などが課題となる。

価格適正化や現金化

 世耕弘成経済産業大臣が昨夏に掲げた「未来志向型の取引慣行改善に向けて」(世耕プラン)を受けて、昨年末中小企業庁と公正取引委員会は、中小企業の取引改善を促すべく、下請中小企業振興法の振興基準の改正、下請代金支払遅延防止法の運用強化を通達した。買いたたきや不等な減額などの違反事例を追加したほか、可能な限り現金支払いで、将来的に手形の支払いサイトを60日以内とするように努めるなどと明記した。

 これを受け、自工会では自主行動計画を策定。重点的に取り組むのは次の3点。①価格決定方法の改善・適正化②型管理などのコスト負担の改善③支払い条件の改善などだ。①は記録を残さずに行う原価低減要請などを行わないことなどを盛り込んだ②は金型の無償保管要請を行わないなども徹底③は現金化を進め、下請代金の支払いサイトは将来的に60日以内を目標とするとした。

 すでに一部では効果も出始めている。自動車用のプレス金型メーカーでは、「来春に現金化するための同意書が来た」という。現在6割が現金取引という鋳造型メーカーは「(現金化が進めば)資金繰りも楽になり、成長への投資に振り向けられる」と期待する。日本金型工業会の牧野俊清会長も「金型の主要ユーザーである自工会などが自ら行動計画を発表してくれたのは大きな一歩で、ありがたい」と話す。

 400社超の会員を持つ、日本自動車部品工業会や、鋳物やプレスなど素形材に関する団体「素形材センター」も、自主行動計画の骨子を発表し、適正化を促す。年度内にはそれぞれの団体で、取引ガイドラインの改訂版も出す予定で、今後はこの動きを浸透させることが課題になる。

記者の目

 今回の政府の動きは、これまで以上に本気だ。自工会が即座に自主行動計画を発表し、自動車メーカーがフォローの動きを見せているのもその表れ。一方でこうした動きを中小同士の取引にも浸透させていけるかが課題だ。ある金型メーカーは「金型メーカーも外注を使うが、その取引にはひどいものもある」と話す。金型業界内での取引適正化も必要になる。

金型新聞 平成29年(2017年)2月10日号