JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、日本時間12月9日22時26分47秒、鹿児島県・種子島宇宙センター大型ロケットセンターからH‐ⅡB6号機を打ち上げ、22時38分、衛星を所定の軌道に乗せ、打ち上げに成功した。H‐ⅡB6号機は、宇宙空間で、地球・天体の観測や宇宙での実験、研究を続ける国際宇宙ステーションに水や食料、衣料などの生活物資や新しい実験装置、実験用サンプルなどの研究資材、バッテリーのような定期的に交換が必要な機器などを運ぶ「こうのとり6号」を搭載しており世界が成功を見守っていた。日本が今年打ち上げたロケットは3機目。続いて12月20日には小型固体燃料ロケット「イプシロン2号」の打ち上げを待つ。これまでの打ち上げ成功率は、96.8%。日本は、国際的な「信頼」「安全」の目安95%を上回る世界トップクラスを誇る。ロケット産業をさらに拡大、高める絶好のチャンスにある。

成功率96.8%の「信頼」

H︲ⅡBロケット打ち上げ成功(JAXA提供)

H︲ⅡBロケット打ち上げ成功(JAXA提供)

 H‐ⅡB6号機は、ロケット打ち上げ執行を三菱重工業が行い、JAXAが打ち上げの安全管理を業務した国産ロケット。同機は、これまでに30号のロケット打ち上げ実績を持ち、各種人工衛星のミッションを支えてきたH‐ⅡAロケットの技術を活かし、より網力を高めた新しいロケット。特長は、液体酸素と液体水素を推進役にする2段式で、本体横にはポリブタジエン系推進役を使用した固体ロケットブースター(SRB‐A)を装着し、加速を補助する(IHIエアロスペースの工場訪問と併せてお読みください)。

 このSRB‐Aは、H‐ⅡAでは1基だった第1段ロケットエンジン(LE‐7A)を2基搭載し、標準型で2本だったSRB‐Aを4本装備する。また、第1タンクの直径を従来の4mから5.2mに拡大し、全長を1m伸長することにより推進薬を約1.7倍搭載した。JIXAによると、いくつかのエンジンを束ねる(クラスター)ことにより「短期間かつ低コストで開発ができる」としている。

 ちなみに、第1段のロケットは全長38m、外形5.2m、質量202t、固体ブースターが同15m、同2.5m、同306t(4本分)、第2段が11m、同4.0m、同20tの能力を備える。

 引き続きJAXAは、小型衛星を効率的に打ち上げる新時代の固体燃料を使ったイプシロンロケット2号機を日本時間12月20日20時00〜21時00の予定で、鹿児島県・内之浦宇宙空間観測所から打ち上げる。

宇宙ステーション補給機「こうのとり6号」(JAXA提供)

宇宙ステーション補給機「こうのとり6号」(JAXA提供)

 役割は、衛星「ジオスペース探査衛星(ERG)」の打ち上げで、ERGは、地球近傍の宇宙空間であるジオスペースに中に広がる「放射線帯」を観測する。

 ロケットの大きさは、全長26.0m、全備質量95.4t。うち第1段モータは全長11.7m、外形2.6m、質量74.5t、2段モータは同4.0m、同2.6m、同17.2t、3段モータは同2.2m、同1.4m、同2.9tである。推進薬は1段、2段、3段ともコンポジット推進薬で、供給方法は同固体推進薬を使う。なお、イプシロンロケットは、2013年9月14日に内之浦宇宙空間観測所から衛星分光観測衛星「ひさし」を正常に分離し、打ち上げに成功した2号機目となる。

 また、JAXAは、2020年代以降、現在の基幹ロケットのH‐ⅡA、H‐ⅡBを刷新し、打ち上げ費用を大幅に低減させ、使い易さを高める宇宙輸送の開発、製造に乗り出す。これは、日本の高い技術力で低コストのロケットを作り出すことで国際衛星打上市場に本格参入することを意味する。

 日本のロケット産業は、近年、1年に4機以上の打ち上げを成功させ、技術力の高さを誇る。また、1基100億円とも80億円ともいわれるロケットの打ち上げ費用もイプシロンロケットの開発で50億円の壁を破り、約38億円で打ち上げられる時代に入る。12月20日計画のイプシロンロケット2号機の成功を祈りたい。

日本産機新聞 平成28年(2016年)12月15日号