三者(メーカー、販売店、ユーザー)をつなぐ力

多様な商品コーディネート 技術・商品に専門性

 ヒト、モノ、カネ、情報の4大経営資源をうまく活用しながら、販売店と商社、メーカーは手を組み携えて、商売を拡げてきた。この根本的な構造は今後も変わらないだろう。しかし、インターネットや物流インフラの発達、ユーザーの海外展開など製造業を取り巻く環境が大きく変化しているなかで、成長を続けてきた時代と比べると、メーカーが商社に求める機能も変化してきている。エンジニアリング力、専門性、サポートまで含めたメーカー代行機能、マーケティング力など、求める要素も高度化している。メーカー各社に卸商社に望む能力について聞いた。

市場動向捉えるノウハウ

 あるFA機器メーカー幹部は、商社に求める機能として、真っ先に「エンジニアリング力」を挙げる。単なる技術力ではなく、いわゆる技術を取りまとめる能力だ。「我々は自分たちの製品知識はある。しかし、ライン全体となると専門外のものも増えるので、機械や工具、周辺機器をコーディネートしてもらえると助かる」という。こうした要望があるのは「ユーザーの生産技術力が低下してきているのか、ライン全体を『丸投げ』されることが増えている」からだ。「このニーズに対応できるのは全体を俯瞰し、あらゆる商品を取り扱う商社だと思う」。

 「販売店の先にどんなユーザーがいて、どんな機械で加工をしているのか、どんなものを作っているのか」を知っておいて欲しいというメーカー幹部も。これらの情報を知らなければ、メーカーが新製品を提案しても「『糠に釘』のような反応しか返ってこないと、サポートしようという気も失せてしまう」からだ。

 ある工作機器メーカーが求めるのは、「メーカー代行機能の強化」だ。単なる代理ではなく、「クレームや顧客フォローまで完全に商社で完結できること」だ。こうしたニーズも外部環境の変化が大きい。「ユーザーの海外展開が当たり前になり『戦線』が広がる中で、我々の経営資源にも限りがあり、サポートしきれない」からだ。「販売店と一緒になって、全面的に顧客サポートをお願いできる存在の商社は本当に心強い」と話す。

 「専門性」も重要。ある工具メーカートップは「何でも屋の無駄な総合力はいらない」と手厳しい。「個人も同じだと思うが、『これには圧倒的に強い』という専門性があれば我々も提案しやすいし、販売店にとってもわかりやすいと思う。逆になんでもやりますとなると何を提案してよいのかわかりづらい」。

 「専門性は在庫にも必要だ」と別のメーカー幹部は指摘する。「もちろん、豊富な在庫は商社の重要すぎる機能だと思うし、持ってもらうことはありがたい。でも全ての商社ができるわけではないと思う。ならば特定の分野に特化した、特徴ある在庫を持ったほうが効率的だ」という。

 情報の活かし方も重要になってきている。あるメーカーは「我々が持つ情報はどうしても偏りがち。商社が販売店を通じて集めることができる莫大な量の情報は強みだ」と指摘する。「商社が集めた幅広い情報を分析し、業界のトレンドや将来の方向性、マーケティング戦略までを一緒に進めていきたい」。ネット通販なども莫大な顧客データを収集し、分析しているが「データに加え、これまで蓄積したノウハウなどを加味した商社の知見は貴重だと思う」。

 あらゆるものがネットにつながるIoTなど、新しいものづくりが展開している。だからこそ、エンジニアリング力、メーカー代行、専門性、情報収集分析など、ユーザーと販売店、そしてメーカーを「つなぐ」商社の能力がますます重要になっている。

日本産機新聞 平成28年(2016年)9月5日号