コンプレッサや減速機 4月からモータに省エネ規制

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 今年4月から一定の効率基準をクリアしたトップランナモータしか販売できなくなる制度の施行に合わせ、同モータを搭載したポンプやコンプレッサ、送風機などの新製品が出そろってきた。同モータは高価な部品を使用しており、実質的に各製品とも値上げになるため、流通業界にとっては、価格改定の好機ともいえる。一方で、販売にあたっては、起動電流が上がることもあるなど注意も必要だ。旧モータ(IE1)を搭載した製品は市場には1億台近くあり、更新や置き換えの需要なども大きい。

 今年4月からモータメーカーは一部の製品を除き、効率基準をクリアしたトップランナモータしか販売できなくなる。このため、コンプレッサやポンプ、送風機、集塵機を中心にモータを組み込む製品を扱うメーカーも対応機種を随時増やしてきた。ただ、トップランナモータは価格が高くなることに加え、旧来型のモータとの併売だったため、コンプレッサをはじめモータを搭載するメーカーも個別対応で進めてきたのが実情で、市場浸透も遅れていた。
昨秋ぐらいまで「旧モータは需要が多くて入手しづらく、トップランナモータも価格が個別対応で、非常に販売しづらかった」(ある販売店)と言う状況が続いていた。しかし、制度施行を直前に控え、トップランナモータを搭載した新製品が一気に出そろってきた。ある商社幹部は「今まで売りづらかったが、メーカーが新製品を揃えてくれたおかげで心配なく売れる」という。

 機械工具業界の製品としては、表①にもあるように、コンプレッサや送風機、ポンプなどが大半を占める。これらの製品で、今後トップランナモータ搭載機種に置き換わっていくことになる。
 ただ当初、機械工具流通業界で対応に苦慮しそうなのが価格だ。トップランナモータには、高価な電磁鋼板をはじめ高機能部品が使われるため、実質値上げになる。値上げ幅に関しては、モータは搭載する製品によって仕様が異なることに加え、生産量による低減効果などあるため、一律には言いづらいが「1・3倍から2倍程度」(業界関係者)になりそうだ。
 当然、そのモータを搭載した製品も価格転嫁はやむを得ない。新製品として発表するメーカーもあれば、値上げとして発表するメーカーもある。例えばコンプレッサでは、これも機種やメーカー各社の状況によって異なるが、平均値では「一桁後半から2割程度までの値上げになりそう」(あるコンプレッサメーカー幹部)との見方が大半だ。

 ある販売店経営者は「価格改定のお願いをするにしても2割のインパクトは大きい」とその値上げ幅を見る。あるユーザーの購買担当者も「二けたの価格変動はかなり大きい。事情が事情でも二けた以上の値上げは厳しい」と言う。だが一方で、先の販売店社長は「ユーザーにも納得して頂きやすい状況にある。値上げのチャンス」と前向きに捉えている。
しかし課題もある。ユーザーへの浸透度の低さだ。モータの9割近くが産業機器に組み込まれて販売されるため、ユーザーは「トップランナモータは知っていても、コンプレッサやポンプなどが対応機種になることを意外に知らない」(あるコンプレッサメーカー)からだ。特に「中小ユーザーほどその認知は低い」と言う。このため、ある送風機メーカーの担当者は「販売店には製品も出そろったので積極的にその周知をアピールして欲しい」と望んでいる。

 ただ一方で、トップランナモータ搭載の製品の販売に際しては注意も必要だ。表②にもあるように、日本電機工業会では、起動電流がアップや筐体のサイズ変更の可能性などに注意を呼び掛けている。起動電流が大きくなることで、「ブレーカなどの変更しなければならない場合もある」(あるモータメーカー)ことなどにも注意が必要だ。しかし、これらをキチンと留意しておけば周辺機器の販売につなげることも可能だ。
 法規制の変更時には、手間もかかる一方で、新たな需要が生まれてきた。今回のトップランナ規制も同様だ。日本国内での産業用モータの国内出荷台数は年間680万台程度で、市場規模は2000億円と見られている。普及している台数も約1億台ともいわれる。
 これらが徐々にトップランナモータ搭載機種に置き換わっていくことを考えると需要は大きい。いち早くトップランナモータ搭載機種をユーザーに提案できれば、後々の更新需要も獲得しやすくなるはずだ。

IE3、IE1搭載機 ユーザーニーズに応じた提案を

 今回の制度改正で業界を悩ませたのが、売れないのはモータのみで、旧モータを搭載した製品は4月以降も売れることだ。このため、昨秋から一部のユーザーや商社、メーカーでは価格の安価な旧モータを買い込む動きも見られた。
 確かに4月以降でも「旧モータを搭載した(安価な)製品が欲しい」と言うニーズがあるかもしれない。しかし、あるモータメーカー幹部は「いずれ旧モータの在庫はなくなる。そうなった時にいきなり対応するのは難しい」と話す。
 しかも、後々の部品のメンテナンスなどを考慮すると、トップランナモータを搭載した製品が出そろった今、ユーザーに対しても、新製品を提案するのが常套(じょうとう)と言えそうだ。

トップランナー制度
 エネルギー消費が多い製品で、対象となる機器ごとの基準値を設け、目標年を定めて省エネ製品を普及する制度。対象となる「特定機器」は26機種(2013年4月現在)で、今回産業用モータも追加される。

日本産機新聞 平成27年(2015年)2月25日号